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written by Goldy
transrated by blue
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朝食に向かう途中の廊下で彼女はハリーを捕えていた。
6年生になって2ヶ月・・・
チョウ・チャンが行動に出るまでたった2ヶ月だったわ。。
さりげなく腕に触れる
髪を揺らしクスクスと笑う
また腕に触れる
あからさまにハリーの気を惹こうとするチョウのふるまい・・
これ以上むかつくことが他にあるかしら?
チョウがもう一度腕に触れるとハリーは頬を赤くし、話がしどろもどろになり始めた。
チョウのボディアタックはかれこれ10分以上続いている。
3年生の時に抱いていた憧れを呼び起こさせるには十分な時間だわ。
ハーマイオニーは溜息をついた。
私何してるのかしら・・・わざわざ。。こんなに一生懸命様子を見ていたって、自分が辛くなるだけなのに。
もしハリーが性格よりも見た目で選ぶなら、私にはどうしようもないのに。
・・・違うの、チョウは性格だって良いのよ。
でも性格が良くても、彼女が好きなのはハリー・ポッターの名前でしかないの。
ハリーはトロフィーや賞品じゃないわ。腕からぶら下げて見せびらかすような飾りでもない。
ハリーには、有名なハリーポッターよりも本当の彼を見てくれる人、
すぐにめそめそ泣かない人、そんな人がふさわしいのよ。
・・・彼の親友のような誰かが。。。
ハーマイオニーは驚いてその考えを押しやった。自分で自分を哀れんでも何もならない。
向かいの席に腰を降ろしたハリーは上気した顔にぎこちない微笑みを浮かべていた。
ハーマイオニーはピンときた。
彼女・・・また?。。。去年と同じ手をつかったのね。
それでも一番の笑顔でハリーに「おはよう」と言うと、ハリーが望むハーマイオニーの顔をした。
彼の親友。ハーマイオニー・グレンジャー。
*****
「ハーマイオニー、ねぇ、ハーマイオニー、待って!」
ハーマイオニーは苛立ちながらもペースを落とした。変身術の授業に遅れそうなのだ。
チョウが息を切らしながら小走りで駆け寄った。
「あなたってば凄く歩くのが速いのね。最初に見かけたのは渡り廊下だったのよ。。。。追いつけないかと思ったわ。」
「ええ、授業に遅れそうだから・・・」
「まぁ、ごめんなさい。。。それじゃ、教室まで歩きながら話しましょうよ」
「よくってよ」
ハーマイオニーはチョウの呼吸が落ち着くのをまった。
「実はね---」
「答えはNOよ」
チョウは訝しげにハーマイオニーの顔を見た。
「え?何ですって?」
ハーマイオニーは溜息と一緒に答えを吐き出した。
「その1、ハリーは私を好きじゃない。その2、私たちが友達以上の関係かどうか心配する必要はない。。。あなたが聞きたかったことってこれでしょう?」
「ご、ごめんなさい。。。」
チョウは恥ずかしさから顔を赤くした。
「いいのよ、別に」
ハーマイオニー・グレンジャーは最高の友人でなければいけないの。
「それで、あなたはどう?・・・ハリーのことを・・・」
ハーマイオニーはイライラした。
「それを聞いて何になるっていうの?」
チョウになんて教えるもんですか。私の気持ち。私だけの大切な想い。
「ねえ、私、間違ったことはしたくないの。私、ハリーのことが好きよ。でもあなた達はとても仲が良いし、あなたは彼の一番大切な人だわ。それって、男の子の親友がいない人にはどう考えて良いのかわからないのよ。だからハッキリさせたいの。実らない恋を追い掛けるなんてまっぴらよ。何と言ってもハリーはあなたのいいなりでしょう?」
ハーマイオニーは立ち止まると黒髪の美少女に向き合った。
「そんなに聞きたいなら教えてあげるわ。ハリーと誰かの恋を邪魔したことは無いし、その答えはNOよ」
チョウは勢いに圧倒された。
「そ、そう・・・じゃ、どうもありがとう」
「どういたしまして」
カバンを肩にかけ直すとハーマイオニーは変身術の授業へ向かった。
最高の友人。ハーマイオニー・グレンジャー。
******
ハーマイオニーよりハリーのことを分かっている人はない。
チョウにいたっては・・・
チョウが見ているハリーは・・・額の傷、ヒーロー、名声
ハーマイオニーは・・・ハリーを一人の男の子だと思っている。
悪夢にうなされ、名付け親の死を悼む一人の少年。
すごく気分屋で、彼女の存在を当然と思っている少年。
とても思いやりがある。彼女が出会った誰よりも優しい少年。
そして、ハリーはハーマイオニーの為ならどんなことも厭わない。
そう、ハーマイオニーはハリーのことをよく分かっている。
だからチョウが恐れていることもよく分かる。
ハーマイオニーの意見がどれほどハリーに影響があるかということだ。
それでもチョウは本気らしい。
チョウが本当にハリーを幸せにしてくれるなら、邪魔をするつもりなんてないわ。
ハリーが向かいの席に腰をおろすと、自分の宿題を押しやってハリーの顔を見た。
「チョウのこと?」
ハーマイオニーはずばりと言った。
ハリーは彼女のほうから切り出してくれてほっとしたようだ。
「うん、いいかな・・・?」
ハーマイオニーはにっこり笑顔をつくると「親友」モードに入った。
ハリーが望む『親友』のハーマイオニーになると心に決めたのだ。
たとえ自分の想いを閉じこめてしまうことになったって・・・
「あのね、彼女ホントにあなたのこと好きみたい」
「そうかな・・・」
ハーマイオニーは下唇を咬みながらハリーの様子をうかがった。
予想に反して全然反応が返ってこない。
「去年はいろいろあったけど、今度は違うんじゃないかしら。
・・・セドリックのことをやっと乗り越えられたんじゃない?」
「うん。。。」
ハリーは上の空だ。
「それで・・・あなたはどうなの?」
「どうって・・?」
「あなたよ、あなた。。まだ彼女のこと好きなんでしょう?」
ハリーはしばらくじっと床をみつめ、ぽつりと言った。
「それなんだけど・・・わからないんだ」
ハーマイオニーの心臓は急にどきどきしだした。
私は親友
私の考えをおしつけちゃだめ
「だって、彼女・・・すごくかわいいし・・・」
「そうだね。。。でも世の中にはかわいい子なら他にも沢山いるよ。それも蛇口をひねるようには泣かない子が。。。」
「ん、まぁそうね。。でも---」
「とにかく、そんなことじゃないんだ。いいかい・・・フェアじゃないんだ。僕に・・・僕に恋人が出来たら、危険に巻き込むことになるんだよ」
ハリーはしばらく考えこんだ。
「チョウみたいな子は僕に関わるとどうなるかなんて想像もつかないのさ」
「運命は不公平だ。。予言とうまくつきあえる人なんている?ヴォルデモートと闘わなければいけないヤツと喜んで付き合う人がいる?」
「・・・ハリー・・・」
「・・・大丈夫だよ。考える時間は充分あったから。。。」
「予言に書いてあった名前と僕とを別々に考えてくれる人を数えたら、片手ぐらいはいたからさ。。。」
ハリーは皮肉な笑みを浮かべた。
「ロンはそのリストに載ってるけど、僕とデートするつもりはないと思うよ」
ハーマイオニーは声を上げて笑った。
「どうでもいいんだけどね・・・」
ハリーも笑顔になった。
「そしてもちろん、そのリストには・・・」
そこまで言うとハリーは黙ってしまい、じっとハーマイオニーを見つめた。
これまで彼女に向けられたことのないまなざし。
たった一度だけそういう視線を感じたことがあった。4年生のダンスパーティーの時だった。
・・・ロンが、ハーマイオニーが女の子だと気づいたあの時。
「ハリー、やめて!私のことそういう風に見ないでちょうだい」
ハリーの頬はさっと赤く染まった。
「なに・・どういう意味?」
「分かってるくせに・・・いざとなれば私が居るなんて思われるのはごめんだわ。ロンからも、あなたからでも。」
「いざとなればって?ハーマイオニー、どういう意味?」
ハーマイオニーはぷいっと顔をそむけた。
「他の女の子達にはフェアじゃないからって、私で手を打とうなんて許せないわ」
「僕は、僕は・・ちょっと待ってよ。。」
「君のことが本当は好きかもしれないってことがそんなに変なことなの?!そのほうがよっぽどフェアじゃないよ!!」
ハーマイオニーは思わずハリーの顔を見つめた。
「だって・・・今までそんな・・」
「聞いて・・・君はいつでも僕の側にいてくれた。。。やっと気が付いたんだ。」
「いつも君の声が頭の中で聞こえて来るし、僕のことをどう思ってるのか気になるし、夢にも・・・出てくるんだ・・」
ハリーは真っ赤になって口をつぐんだ。
「えっと、だからその・・・去年チョウに言われたことは、その通りだったんだよ。。。誰も君の代わりになる人はいないんだよ、ハーマイオニー・・・なりたいって思うことさえ無駄なんだよ。それに・・・それに・・」
「魔法省で・・・ドロホフに襲われて君が倒れた時、頭が真っ白になって・・・・・君を失なうなんて耐えられない・・・そう思ったら頭がパニックになった」
ハリーは震える気持ちを抑えていたが、その瞳は真剣だった。
「つまり・・・君で手を打とうなんて!・・・ずっと前からもう・・ただ、僕が気づいてなかっただけなんだ。。」
そう言って力つきたように椅子に身を沈めると、ハリーは訴えるような顔でハーマイオニーを見た。
ハーマイオニーは胸に灯がともったような感じがした。
何も言葉が出てこずにハリーを見つめ返すしか出来なかった。
ハリー・・・一番の親友、ハリー。。。今までこんな風に熱く期待に輝く瞳はみたことがなかった。
パチっと暖炉の火がはじける音で二人は我に返った。
ハーマイオニーはやっと状況を理解できた。
ハリーを幸せにしてくれる人なら、邪魔はしない。
ハーマイオニー・グレンジャーは最高の友人。
呟く様に出た言葉。。。
「ハリー・・・私をホグズミードに誘ってくれる?」
「・・・も、もちろん。え〜っと・・・よかったら---」
「Yes!」
「まだ僕が何て言うか聞いて無いじゃないか!」
「ふふっ。。『Yes』ってもう言っちゃったわ?」
「チョウにちゃんと話をしなくちゃ」
ハリーは顔をしかめたが、ハーマイオニーはきっぱりと諭した。
「そうね・・・でも彼女を避けないで。。。知らん顔されるのは辛いことなのよ」
「・・・僕たちのことを聞いても・・・そう思うかな?」
「んん〜、多分・・・思わないかも。。」
ハリーは肩をすくめた。
「どうせ上手くいくはずなかったんだ。僕のことを本当に分かってはくれなかっただろうし・・・正直言って、僕も彼女のことを理解出来なかったと思うし」
「知ってたわ。。」
「ねえ!分かってたなら言ってくれればよかったじゃないか。。そうすれば、色々悩まなくてもよかったのに・・・」
包み込むような笑顔でハーマイオニーは答えた。
「だって、私はハリーの『一番の親友』なんですもの」
2005/05/10 加筆・修正
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うるる〜さん、思いがけない頂き物、本当にありがとうございました。
いつも素敵なお話やイラストを見せて頂いて、感謝の気持ちの千分の一も尽くせていないのですが、
ハリハーラバーにとってはニヤリとすることこの上ないお話を捧げさせて頂きます。
この話、続きもあったり・・・
blue
うるる〜さんの寸止め萌えイラストはこちらにてご覧になれます
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